新潟のポップシーンを牽引する、鈴木恵様(鈴木恵TRIO/EXTENSION58)より推薦文を頂戴いたしました!

日本製英国サウンドのパイオニア、または心に茨を持った5人衆「The Laundries」のサードアルバム「Synanthrope」が届きました。

バンドのサウンドを主に構築するギターの遠山くんは、僕と同郷の新潟生まれ。東京で「The Laundries」を結成、東京のライブハウスシーンでメキメキと頭角を表します。現在は、バンドを継続しながらも、一時的ながら縁あって再び新潟に居住されています。

このアルバムを聴いた時「また帰ってこれてよかったね。」と率直に思ったんです。最近は彼と音楽をやる機会も増えたので、終始状況を伺っていたのですが、レコーディング、リハーサルとその都度、雪の中、4時間かけて車で東京へ通い、深夜に車を飛ばして帰ってきては、また日常へ舞い戻っていく。

僕にはこの作品が、前作、前々作にも増して「情景が見えるサウンドになったな。」と感じました。ギターのフィードバックは、激しく降りしきる吹雪のようだし、輝きを放つメロウな歌声は、雪を溶かす春の陽気のよう。ラッパの音だって、ピアノの音だって、リズムだって、何もかも日常に溢れてる。つまりは、このバンドが最も欲していたと思う「北国の情景」を手に入れたんだよね。きっと、何かの模倣では掴むことができないリアルな北国感。「音楽を作る」というただ1つの目的のために、雪模様の高速道路を駆け抜ける。そんな一途な想いが、やがて時空を超え、自然とサウンドに溶け込んでいったのではないか。リアルな感覚というのは、リアルでしか手に入れることができないんだよね。こんな風に思ったら、なんか、途端に胸が熱くなってきてしまいました。

ともかくは、素晴らしい名盤であることは間違いありません。

最後に。バンドはね、長くやってりゃ良い、ってもんです。


鈴木恵(鈴木恵TRIO/EXTENSION58)